年度別受賞作品
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コンセプト

 「あったか・えっせい」は、一般社団法人日本専門店協会が、販売員の意識の向上を目指して、1996年より毎年実施しているエッセイ・コンテストです。スタート当初は〈販売員部門〉だけの募集でしたが、1998年から〈お客様部門〉も設けられました。
 
 また、サブタイトルを「ふれあい舞台(ステージ)」とした2001年には、〈販売員部門〉を〈店部門〉と改め、販売分野の方だけでなく、小売店で働く全ての人たち(本部スタッフやバイヤー等)に応募対象を拡げています。
 
 反響は年々大きくなっており、社員教育や社会科の授業の一環として応募する企業や学校も増えてきています。

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 流通業界が産業化のために工業社会の発想を取り入れることで、企業としてそれなりに大きくはなったものの、そのような仕組みでは顧客が満足しない20世紀が終わり、消費の低迷によりモノが売れない状況が続いています。加えてITの発達によるインターネットやTVショッピング、通信販売等の無機質な販売方法が増えるにつれ、一方で有店舗販売の存在が大きくなってきています。
 
 それは顧客との会話を通し、顧客の暮らしに必要な知恵を提供し、納得をしていただく商いが必要な時代が始まったことを意味しています。産業化の手法の一つであったマニュアルは、底辺のレベルを上げるためには役だっても、一人一人の顧客ニーズや不満に応えていくための手法としては、いま一つ欠けているものがあります。要は店で働く人たちが努力することにより、生活の知恵や商品知識で、さらには人間の五感全てで顧客に感動を与えることが、重要なポイントになっているのです。
 
 ある年の最優秀賞作品に、耳の不自由なお客様がお帰りになる時、朝礼で教わった「ありがとうございます」の手話を思い出し、通じるかどうか自信がなかったが、思い切ってやってみた時のお客様のうれしそうな顔。その笑顔を忘れることができない、というような一文がありました。
 
 このようなヒューマンフリンジ(人間の予期せぬ行為)によって大きな感動を与える、言うならばヒューマンフリンジこそ、店で働く一人一人が努力すべきことなのです。
 そういう時代がすでに始まっているのです。(協会顧問 奥住正道)

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 「専門店にとって販売とは何か」を問い直すきっかけになれば…、そのような思いから当協会のコンテストは始まりました。時代の流れとともにその内容や果たす役割も少しずつ変化してきていることがわかります。応募を教育や研修の一環としてプログラムに組み込む会員企業も増えています。
 
 「販売員研修の中に、エッセイの作品集から各々が好きな作品を選んで感想を発表する時間を設けました。また自分の体験をもとにした作文を課題として出し、再び集まりお互いに朗読し合っています。みんな、もう涙、涙、私もついついもらい泣きしてしまう場面も…。かつて店に出ていた人間として、皆の気持ちが痛いほどわかるのです。一人ひとりの思いを共有し、現場の仕事の大切さを確認できる、貴重な機会になっているのではないかと思います」。
 
 「エリアマネージャーの研修に一昨年から取り入れました。お客様との交流やお叱りの言葉は販売員にとって宝物。何より大切なことはわかっていても、日々の忙しさに紛れてかけがえのない貴重な体験はいつしか忘れ去られていきます。その時の状況を何とか思い出して文章にしていく作業は正直いって苦労があるようですが、確実に次の接客につながっているような気がします」。
 「全社的な取り組みとして参加しています。始めのころは〈各店一人〉という働きかけをしていましたが、今では年二回の店長会や広報誌に紹介する程度。それでも毎年数が増え、若い人たちからの自主的な応募が多くなっています。嬉しいことや心を動かされたことがあれば、誰でも人に話したくなります。身近な人におしゃべりするような気持ちでエッセイにまとめてくれれば、と思っています」。
 
 「数年前から、採用内定者にも作品集を送付するようになりました。それを読んだ感想文が届いていますが、『仕事への不安が期待へと変わった』『勇気をもらった』などの意見が寄せられています。この本を通して、それまで客の目でしか見ていなかった店を逆の視点から捉え、新人たちが意欲的な気持ちで仕事に臨んでくれることを願っています」。
 
 私たちの試みが少しでも皆様のお役に立てていたと知り、これ以上嬉しいことはありません。なかでも、仕事に不安を感じている新入社員の「この本を読んで、勇気づけられ、意欲的になった」という声は、このコンテストがけっして一方通行ではなかったことがわかって、私たちこそ勇気をいただきました。
 
 成熟した消費社会で暮らすお客様は、新たな情報よりも〈感動〉を求めているように思います。人と人との関係で成り立つ専門店にとって、より高感度な人間関係を築くことのできる人材がこれからはますます必要となってきます。感動のわかる、心にゆとりのある人格形成が何より大切な時代になりました。ここに掲載されたエッセイは、全て現場で起こった体験をもとに書かれているものばかり。だからこそ読む人の心を癒し、新しい力が生まれてくるのではないでしょうか。
 
 私たちも「あったか・えっせい」から様々なことを教えてもらいました。マニュアルに頼らず一生懸命努力する姿や、失敗をプラスに変えていく姿は誇り高く、読み手に清々しい気持ちを与えてくれます。
 
 一人でも多くの方がこのページで、お店という舞台で繰り広げられる心弾む感動物語を読んでいただければ幸いです。

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