年度別受賞作品
退職や転居等により氏名公表許諾未確認の方のお名前は割愛させていただきました。
作品ジャンルで探す
作品カテゴリーで探す
キーワードで探す
各記事には関連キーワードを設定しています。
自転車・メガネ・子供・感激…などキーワードを入力してください ※複数は(カンマ区切り)

お客様との信頼関係

第09回 2005年度 受賞作品
入賞作品
作者名:中谷慶輔
所属企業:㈱ザ・クロックハウス 丸井今井苫小牧店

記事(紹介文)

 
 それは電池交換でお越しいただいた女性の方の話です。その方がお持ちになった時計のメーカーはコーチでした。私は舶来の電池交換はたびたび店頭で行っており、コーチも経験したことがありました。ただ今回は裏ブタの形状がカーブ状になっていたため、何か起きてからでは遅いと思い、お預かりをして電池交換をしようと考えました。
 そのようにお伝えするとそれまで穏やかだった表情が急変し、以前電池交換を行ったときの保証書を出されました。ペアでコーチの時計をお持ちでメンズはザ・クロックハウスの他店で電池交換を行っていて、その時は店頭ですぐ電池交換をしたそうです。おそらくその店舗では私よりも経験の長いスタッフが対応したらしく、何も言わずにすぐ電池交換をしてくれたのに、どうしてできるところとできないところがあるんだと少し語気を強めておっしゃいました。
 確かにお客様の言い分は間違っていないと思います。このままでは二度とこのお客様は当社をご利用になられないだろうと思い、思い切って説得してみることにしました。時計を見せながら形状が特殊で裏ブタが閉まらない恐れがあるということ、コーチというブランドの価値についても説明しました。結局お客様がお急ぎということもあり裏ブタが閉まらなかった場合にはお預かりになることを了承していただき、店頭でやってみることにしました。
 幸い無事に終わり、私もお客様もホッとしました。するとお客様が、「いろいろ説明ありがとう。さっきはごめんね」とおっしゃられました。預かりになることを怒っていたのではなく、同じ会社でも店舗、人によって対応が違うことに納得がいかなかったのです。店頭で行うにしても、お預かりするにしても、どれだけお客様のことを考えているかを伝えられるかによって受け止め方が違うと思いました。結果は前回のメンズ用と同じように店頭で行いましたが、帰られる時の気持ちは今回の方が喜んでお帰りになられたと思っております。
 そのお客様は市外にお住まいにもかかわらず、その後も電池交換がある度に自店に来ていただけるようになりました。メンズ用がまた電池交換が必要になって自店にいらっしゃったときには私が不在で、違うスタッフが対応しお預かりになるとお伝えしたところ、快く預けていかれました。あの時の説明が役に立ったなと感じました。今ではご家庭の時計をご購入していただけるまでになっています。
 クレームやそれに近いことがあった時には、ただハイ、ハイとうなずいているだけではなく、申し訳ないという謝罪の気持ちと一緒に、納得していただけるような説明を付け加えると、お客様の安心と信頼回復につながることがわかりました。

タグ(関連キーワード)

コンセプト 審査委員長紹介 お問い合わせ 日本専門店協会サイト プライバシーポリシー
Copy right (c) Japan Specialty Store Association All Rights reserved 2009.