初心の想い

第01回 1997年度 受賞作品
入賞作品
作者名:(氏名割愛)
所属企業:服飾品販売店勤務

記事(紹介文)

 
 私は今の服飾の仕事について五年、販売員としては7年になりますが、毎日同じ事のくり返しで1日何人もの御客様と接するうち、色々な事を見逃しているのではないかと、近頃考える様になっていました。
 例えば、店内に入ってきた御客様は商品を手に取っているが、買って頂けるのかそうではないのかなど自分の判断で人を比べてみたり、広げた商品をそのままにするような御客様を毛嫌いしてみたりしていました。私の中途半端な職歴が、この様に考えさせるようになっていたのかもしれません。中にはそうでない人もいる事は事実なのですから。
 そんな時、私がプライベートで某店へ買い物に行ったた時の事でした。色々な商品を見比べ品定めをしたいなと思い、つい大きく商品を広げ、また別の商品を手にした時、ふといつも自分の想っている御客様と同じである事に気づきました。(あっ自分も同じだ。)そんな反省の気持ちで店内を見ている時、1人の子供が店内をまるで自分の家のように走り回っている姿が目に入りました。私は少しうざったく思っていると、その子は走っていた拍子に転びそうになり、近くの商品につかまりそのまま商品ごと倒れてしまったのです。私は、「あーあ」と思いつつもしょうがなく近よろうとした時でした。店員さんがすぐ様近づき、子供を静かに抱えあげました。
その子供の顔は、子供なりにいけないと思ったのか、うつむき泣きだしそうになっていました。店員さんは、にっこり笑って「あっちにおもしろいのあるよ、見てごらん。」と子供の注意を別に向けて、子供がその場を立ち去ってから、倒れた商品を何事も無かったように元通りに片付けていました。片付け終わると、一部始終を見ていた私に「ごゆっくりどうぞご覧になって下さいね。」と、さりげなく一声かけてくれて自分の持場に帰っていきました。
 私は、その店員さんの姿を見て、自分の思いが情けなくなりました。もし、私の店で同じ事があったら私はあの店員さんの様にしていたでしょうかと自分に問いかけ、自分の考え、態度を見つめ直すとともに、あの子供の分も一緒に「ありがとう」と気持ちの中でくりかえしていました。
 今では、相手の気持ち、又自分がその立場ならと思い、自分の言動に責任と自信をもって毎日の仕事を楽しくがんばっています。あの時、某店に出向いていなかったらこんな気持ちにはならなかった事でしょう。初心に帰らせてくれた店員さんに感謝しています。
今でも小さな子供を見ると あの時の想いを思い出します。

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