小さな出会い

第11回 2007年度 受賞作品
最優秀作品
作者名:髙坂育子
所属企業:㈱ユーハイム 立川高島屋店

記事(紹介文)


 入社して2年半、まだまだ成長過程の私ですが、いろいろなことがありました。
 顔を覚えていただいたお客様ができたこと、誉めていただいたこと、ちょっとした言い方でお客様を不愉快にさせてしまったことなど、考えてみればきりがありません。それでもこの仕事にはいろいろな出会いがあり、お客様と接するという貴重な体験ができる奥の深い仕事だと思っています。
 そんなある日、中年の女性のお客様が来店されました。ちょっと控え目な様子で「バウムクーヘンの写真を撮らせていただけませんか?」とおっしゃられました。急なことだったので理由をお伺いしてみると、小学生の娘さんが学校の課題でドイツ菓子について調べられているということでした。夏休みに利用した空港で当社のバウムクーヘンを購入されて、バウムクーヘンがどうやってできているかなどは調べてわかったけれど、切る前の大きいバウムクーヘンの写真がないので欲しいということでした。
 残念ながら娘さんは習い事でお会いすることができませんでしたが、お話しを聞いて、すぐに承知しました。「ただ、営業時間中で他のお客様もいらっしゃいますから、閉店後に写真を撮り、送らせていただきたいのですが、いかかがですか?」と提案しました。するとそこまでは、と恐縮されて、後日お店に取りに来られることになりました。
 翌日の夜、閉店後メンバーと2人でどうしたらわかりやすく見えるかなど試行錯誤をしながら写真を撮りました。そうした中で、改めて自分が販売している商品に誇りを持っていること、もっともっといろんな人に伝統のバームクーヘンを知ってもらいたいと思っていることを再認識し、自分にとっても大変有意義な時間になりました。
 しかし、来ていただくと決めたその日はどうしても出勤することができなかったので手紙を添えて店のメンバーに渡してもらうことにしました。そして、現像した写真を確認し、店のメンバーに託してお店を後にしました。
 その1週間後のことです。出勤すると、その親子のお客様からの書類がお店に届いていました。私が休みの日に来店され、置いていかれたそうです。なんだろうと思いながらそれを開くと手紙とともに、ドイツ菓子について調べてまとめた課題の紙が入っていました。
 それはとてもよくできていて、それだけでもびっくりしたのですが、なんと最後の数ページには、自分たちが撮った写真を使って解説しているものが載っていました。手紙にもお礼の言葉とともに「これからもがんばってください」とあり、読んだ私はただただ嬉しくて、にこにこしてしまうばかりでした。こんなに喜んでいただいて、こちらこそありがとう、と思いながら。
 今までいろいろなお客様にお会いした中で特に印象に残る出会いでした。時には今回のように販売することだけではなくても、お客様に喜んでいただけることがあると気付かされました。
 これからも、一人でも多くのお客様に喜んでいただき、その喜びを自分の喜びと感じられるような販売員に成長していきたいと思います。販売って素晴らしい。人と人との小さな出会いがあるからです。

タグ(関連キーワード)

コンセプト 審査委員長紹介 お問い合わせ 日本専門店協会サイト プライバシーポリシー
Copy right (c) Japan Specialty Store Association All Rights reserved 2009