震災がわたしに教えてくれたこと

第15回 2011年度 受賞作品
優秀賞作品
作者名:佐藤純子
所属企業:㈱生活の木 仙台パルコ店

記事(紹介文)


 今年の2月に入社したばかり。毎日が勉強で楽しみと不安が混ざりあう日々を送っていた。しかし、ある一瞬の出来事で恐怖のどん底に陥った。誰もが忘れない、日本中を驚かせたあの3・11…。
 当日の朝、私は館内の避難訓練のために早く出勤し、火災対策訓練と地震対策訓練を行った。一連の流れを覚えて無事に訓練は終了。その後、通常に開店。そして14時46分地震は起きた。館内はたくさんの人でパニック状態。私は、ガラスに近づかないよう、頭を押さえるよう、大きな声で何度も何度も案内をし続けた。「落ち着いてください!」「頭を押さえてしゃがんで下さい!」「そのままお待ち下さい!」と。
 もう何が起きているのかわからなかった。停電になった時にはもう頭の中は真っ白。一度強い揺れが収まり、安心したその数秒後にまた揺れだした。泣いている方もいた。幸い他のスタッフやテナントの方たちと一緒だったので、避難訓練の効果も発揮して無事お客様を外へご案内し、自分たちも避難することができた。地震後はただただ命の危険だけを感じながら生きていた。
 3月25日から営業が再開。お客様は少なかったがまたお店で働けることに喜びを感じた。地震を体験して、販売の仕事は、ただ物を売る仕事ではなく、お客様や店舗の安全を充分に注意するのも本当に大事な仕事なのだと、改めて感じた。震災の当日館内にいた方が、店舗が入っているビルに、「安心して避難できた」とお礼の言葉を寄せて下さったことを聞き、非常に嬉しかった。
 地震後、「眠れない」「不安だ」という言葉を呟くお客様が多くなったことに気付き、より積極的にお客様とお話をすることを心がけた。「自分たちはまだいい。家はあるし、生きているし」などと話す方が多く、毎日の不自由な生活にも不満なんて言っていられないという雰囲気があった。私はあえて「不満や不安な気持ちはここで吐き出して帰ってください。溜めていたらもたないですよ」とお話し、それぞれの方の被害状況などを伺った。言うだけ言ってスッキリした様子で帰宅される様子を見てなんだかホッと安心した。
 ある日、20代の女性のお客様から、「お姉さん、あの日、店番してましたよね。私、午前中に買い物に来ていたんです。お店大丈夫だったんですか。これから皆癒されたいからアロマはもっと人気が出ますね。頑張ってくださいね」と逆に励ましのお言葉を頂いた。本当に涙が出そうだった。その言葉を機に、私はさらに頑張ろうと心に火がついた。
 2週間近く経過した頃から、避難所から気分転換に買い物に来る方、ボランティアの方にアロママッサージをされて興味を持った方、支援物資の中に入っていたアロマ商品の使い方を教えてほしいという方などが増えてきた。何がきっかけであっても、アロマ好きになってくださったことがすごく嬉しかった。私はお客様とゆっくりお話をしながら、身近で使いやすい方法をご案内した。「またわからないことがあったら教えてね」と笑顔でご帰宅いただけた時、(ああ、これが販売の仕事の良さなんだな)と、さらに頑張っていこうという気持ちになれた。
 その後も、疲れた表情の方、家族の健康を心配する方など、様々な方が来店される。その方、その方に必要なものを瞬時に判断し、接客していくことは難しいが、楽しさも感じている。毎日が勉強だ。お客様から言われた「頑張ってくださいね」というあの温かい言葉を忘れず、これからも宮城の復興の力になれるように頑張っていきたい。

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