年度別受賞作品
退職や転居等により氏名公表許諾未確認の方のお名前は割愛させていただきました。
作品ジャンルで探す
作品カテゴリーで探す
キーワードで探す
各記事には関連キーワードを設定しています。
自転車・メガネ・子供・感激…などキーワードを入力してください ※複数は(カンマ区切り)

私の仕事の影響力

第15回 2011年度 受賞作品
入賞作品
作者名:片塰麻実
所属企業:㈱玉屋 京都ポルタ店

記事(紹介文)


 1年目社員の秋ごろのこと、私は小物担当を店長から任されました。正直、小物担当は何をすれば良いのか分からず、売り場に立って以前と変わらぬ毎日を送っていました。
 その年の冬、小物売り場に髪型アレンジブックを置こうという話が出てきました。今まで髪型や小物使いなどを考えずお店に立っていたので、その話を聞いた日に髪型アレンジ本を買い、主任にアピールをして全面的にアレンジブック作りを任せてもらうことになりました。
 自分の髪でアレンジをし、店の小物をつけ、写真を撮り、コメントも載せる。そうやって、やっと出来上がったアレンジブック。なんだか照れくさいけれど、自分の子供を見守る様に小物売り場に置きました。その日1日は、アレンジブックを見てくださるお客様が気になって、出来るだけアレンジブックを見てくださるようにお声がけをして、ドキドキしながらお客様の反応をお伺いしたことを今でも覚えています。
 そんなある日のことです。セール期間中でアレンジブックを下げていたのですが、お客様から「アレンジブック止めてしまったんですか」と、お声をかけていただきました。事情を説明すると「あのアレンジブックを見て影響を受け、自分も髪をアレンジしてヘッドアクセをつけ始めたんです」というお話を聞かせて頂きました。まさか、自分が仕事でしていたことが、そのお客様自身に影響を与えていたなんて思いもよらず、嬉しくてアレンジの勉強をして本当に良かったと、しみじみ思いました。
 するとお客様から、「アレンジブックのお姉さんですよね。前から話してみたいと思ってたんです。いつも接客していてなかなか声がかけられなかったんですよ。何か参考にしている本とかあるんですか。お勧めのヘッドアクセはどれですか」と、今まで本当に話したいと思ってくださっていたのだと感じるくらい沢山の質問をしてくださいました。
 ひとつひとつの質問に誠実にお答えすると、お客様もウンウンと頷きながら真剣に聞いてくださいました。最後に、セールが終わったら必ずアレンジブックを店頭に出すことを約束し、その時に私がつけていたバレッタなど計3点のヘッドアクセをご購入いただきました。お見送りの時、「アレンジの写真、増やしといてくださいね」と言って帰って行かれました。
 お客様のおかげで、私の中ではただの小物担当としての役割に過ぎなかったアレンジブック作りが、お客様に影響を与えられる様なヘアスタイリング提案のツールのひとつに変わりました。そのお客様は今でも、アレンジブックやヘッドアクセを見に来てくださったり、オリジナルでスタイリングされた髪型を見せに来てくださったり、私に刺激を与えてくださる存在のお客様です。

タグ(関連キーワード)

コンセプト 審査委員長紹介 お問い合わせ 日本専門店協会サイト プライバシーポリシー
Copy right (c) Japan Specialty Store Association All Rights reserved 2009.