一期一会のおもてなし

第01回 1997年度 受賞作品
受賞者インタビュー
作者名:石塚晋司
所属企業:㈱新星堂

記事(紹介文)

第1回(1996年) 入賞 「一期一会のおもてなし」
㈱新星堂 営業本部音楽第2ブロック 飯能店店長 石塚晋司さん

 今まで販売一筋で16年やってきましたが、まだまだ本当の販売ができていないと思っています。応募した文章にも書いたのですが、販売に一番大切なことは商品の売買ではなく、店員の「お買い上げ頂きありがとうございます」という感謝の気持ちと「買わせていただいてありがとう」というお客さまの思い、この両者の心のあり方ではないかと思います。
 若い頃は、「レコード販売なんて別になくても困らない仕事ではないか、世の中を動かす仕事ではない」なんて思ったりして迷った時期もありました。でもそうではないんですね。結局は人と人のふれあいや縁が世の中の暮らしを豊かにしていくのです。店は単にモノを売買する場ではなく、もっと次元の高い場所。自分の仕事に誇りを持って、どんな人や品物に対しても愛情を持って接していれば、そういう人に感化されて周りの人たちはいつのまにか幸せになっていく。私もそういう販売員になりたいと思うようになりました。
 とくに私どものように若い人がたくさん集まる店には、子どもを育むような気持ちが込められていないといけないし、大人にとっては自分を省みるような場所でなくてはなりません。社会的にも十分に重い存在なのだと気がついたときに、この仕事に一層の誇りと責任を感じるようになりました。
 入社したのは昭和56年、24歳でした。将来の生活設計のことなど何にも考えていない年代です。趣味がレコード鑑賞というぐらいで、とくに資格があるわけでもありません。でも人と接するのは嫌いではないし、好きなことの延長線上で仕事ができるのが魅力でした。始めの3~4年は考える余裕がないくらい夢中でした。当時勤めていた新宿店は夜10時まで営業していたこともあって、時間が過ぎていくのはアッという間でした。クラシック音楽が担当でしたから、わりと年輩の方に接する機会が多く、いろいろなお客様と知り合えることも励みになりました。
 わりと若くして店長になったのですが、新米店長時代のことは今思い出しても恥ずかしくなります。もし自分がこういう人の下で働いていたら嫌だなと思うような店長でした。管理することばかりに気をとられ、お客様に対する態度や心構えがおろそかになっていましたし、販売スタッフ一人ひとりの性格や持ち味に合わせそれぞれの笑顔を出すにはどうしたらいいかといったことにも気がつきませんでした。
 ある日書店で何気なく手にとった歴史の本の中に「あるがままに」という言葉を見つけたとき、ドキッとしました。心身ともに不調で、ストレスもたまり少々落ち込んでいたときです。何かを変えなくてはと焦る気持ちに、「ありのままに受け入れる」という言葉が新鮮な刺激を与えてくれたのです。そしてそういう言葉が書いてある本を選んで読んでいくうちに、自分に対して良い状態であることが人に対しても良い状態でいられるということに気がついたのです。無理をしなくてもいいんだと楽になった。これも出会いですね。ストレスというのは決して悪いものではない、むしろストレスを感じているときは自分が伸びようとしているとき、今ではそう思っています。
 これからも、少しでも興味を感じて店内に足を踏み入れてくださったお客様が安心して何かを得ることができるように、そのための手助けをしていきたいですね。

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