ありがとう、B堂のおばちゃん!

第03回 1999年度 受賞作品
受賞者インタビュー
作者名:松本直子
所属企業:一般

記事(紹介文)


第3回(1998年) 優秀賞 「ありがとう、B堂のおばちゃん!」
松本直子さん

 受賞のお知らせを聞いて、早速商店街の洋装店に走りました。「表彰式に出るんだけど何を着て行ったらいいか選んで」ってお願いしたら、場所を聞いてなかったことに気付いてあきれられました。この商店街にはそんな私のアドバイザーがたくさんいます。なにも買い物に限ったことではありません。コットンショップで学校用の防災頭巾入れの作り方を教えてもらったり、お肉屋さんに旅先で食べた料理の作り方を教えてもらったり、悩みごとの相談にものってもらっています。「話に来て9時半でどう?」と言ってくれたことがありました。9時半というのはこの店がようやく1日の仕事を終え、閉店する夜の9時半のことです。朝から働きづめなのに、わざわざ私のために時間をつくってくれることに感激していたら、奥さんと話している横からご主人がお茶をいれてくれます。なかなか解決法は見つからなくても、聞いてくれる人がいる、話すだけで気が楽になります。「お天道様がみているよ」と力づけてくれる人生のアドバイザーです。
 東京の私鉄沿線の町での生活は約40年になります。でもこの商店街で意識して買い物をするようになったのはここ12、3年、専業主婦になってからです。結婚前はもちろん、仕事をしながら保育園の送り迎えをしていたときにはゆっくり買い物をすることがありませんでした。やむをえず仕事を辞めて家庭に入ったときは随分ストレスがありましたが、時間に余裕ができたからこそ商店街の人たちと知り合うことができたと思っています。
 高校生を頭に食べ盛りの子供が3人もいると、日々の買い物をこの商店街だけですませることはできません。でもこの商店街は私の心のよりどころであり、私の誇りです。
 ある商店の子供が遊びに来ていたときに、「いじめをどう思う」と聞いたら、「ぼくは絶対に友だちをいじめたりはしません。僕がそんなことをしたら、うちの店はここの商店街で商売ができなくなってしまいますから」と答えたのを聞いて、思わず涙が出ました。お菓子屋さんの子に、ホットプレートでおいしい皮の焼き方を聞こうとしたら、これじゃあ火の通りにむらがあるからダメだと教えられました。
 子供にしてこうです。この職人気質、商売人気質。この商店街には、店を営むおじちゃんやおばちゃんの心意気があふれています。私はその一刻(いっこく)さがたまらなく好きです。
 伝言ダイヤルやインターネット販売による犯罪が新聞をにぎわせています。淋しいんですよね、人は。この商店街には忘れてはいけない人とのぬくもりがあふれています。そのぬくもりを絆に、これからも店と客以上のいい関係を大切にしていきたいと思っています。

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