ギターと少年

第04回 2000年度 受賞作品
受賞者インタビュー
作者名:北島俊一
所属企業:㈱新星堂 ロックイン博多店

記事(紹介文)

第4回(1999年) 最優秀賞 「ギターと少年」
㈱新星堂 博多店 北島俊一さん

 このような大賞をいただいて大変驚いています。文章はあまり得意なほうではないのですが、書きながら、あんなこともあった、こんなこともあったと思いを巡らせているうちにどこかホットしてきて、思う以上に筆が進みました。書き終えて、「明日から仕事、がんばろう」という気になったものです。
 店長業をやっておりますと、とかく売上だとか効率に振り回されてしまいまです。そんな生活に疲れ、行き詰ったときに思い出すのは彼のことです。すると「大事なのはお客様を愛すること。結果は後からあとからついてくる」という初心に戻ります。そんな思いを後輩たちに分かってもらい、私と同じような立場にいる人にも、それぞれの販売物語を思い出してもらうきっかけにしてもらえればありがたいと思います。
 接客にマニュアルはありません。お客様が100人いらっしゃれば100通りの接客があり、100点満点は決してありません。だからこそいつも先へ先へとお客様のことを考えてあげること、それがプロの販売員だと思います。
 お年玉でしょうか、千円札20枚をにぎりしめてギターを買いにきた中学生。若いときやっていたハワイアンにもう1度チャレンジしたいと言って、ややためらいながら店に入ってこられた中高年の方。それぞれのお客様に自分の過去や父の姿を重ねて、お客様の気持ちを考えます。気持ちを汲もうとすれば、おのずとそういう接客になり、本当の「ありがとうございます」がでてきます。
 ショッピングにおいて話しかけられることを拒む若い人が増えていると言います。でもギターが欲しいという方にお客様のニーズをお聞きして商品の説明をし、チューニングをしてアンプをシールドして、ベストの音になるセッティングをして、ピックを渡して、自分も弾いてみて…という販売スタイルはもう何十年も変わっていません。そのように最初から最後までお客様と身近にいる時間が多い商売というのもあまりないと思います。それはまた、すばらしい出会いや心温まるシーンに出会うことの多い職場だと思うのです。
 今、フォークギターが売れているのは、電気楽器にはない“安らぎ”があるからではないでしょうか。努力なんて格好悪い、優しさが煩わしい、真心なんて…という若者が増えていても、そのどこかではアコースティックなやすらぎや暖かさを求めているのかもしれません。時代にかかわらず、人の求めるものはそんなに変わらないはずです。ですから楽器が、音楽が愛され続けるのでしょう。
 ヒューマン産業に従事していることに、大きな誇りと喜びを感じております。

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