お弁当と記念撮影と

第05回　2001年度受賞作品
受賞者インタビュー
作者名：平山美奈
所属企業：㈱リオグループホールディングス天神コア店

記事（紹介文）

第５回（2000年）　優秀賞　「お弁当と記念撮影と」
㈱リオグループホールディングス　福岡天神コア店　平山美奈さん

　受賞のＦＡＸが届いた日、休みだった店長に朝から電話しました。「店長、大変です。私やりました！」って。えっせいの話があったときから、このエピソードを書くつもりで店長にも相談していたので、一緒になって喜んでくれました。
　結果的には時間が合わなくて来られなかったんですけど、このインタビューにお弁当のお客様、小林さんをお誘いしたんです。小林さんとはご近所づきあいみたいに、いろんなものをいただいたりさしあげたり。また３人のお子さんたちとも仲が良くて、ケイタイでメールのやりとりなどもしています。このえっせいのコピーをあげて、「どう、お姉ちゃん、見直したやろ」と言うと、「すごい」って言って、小林さんがまたお弁当をつくってきてくれることになりました。
　お客様とはできるだけお友達ぽくつきあいたいと思っています。ケイタイ番号も「よかったら教えて」って言うと、「うん、いいよ」っていう感じで、固定客の方の番号は全部知っています。時には彼氏を連れてきて紹介してくれたり、お土産を持ってきてくれたり。私と話をしていると元気になるって言ってくれる人もいますけど、逆に悩みを聞いてもらって私が慰めてもらうことだってあります。「平山さんの顔見に来たんだけど、忙しそうにしていたから、声をかけずに帰ったよ」なんて聞くと残念な気がしますけど、お客様にもいろいろ気を遣ってもらっているんだなあと思います。
　私にとって人とのつきあいの一歩は、自分の全部をさらけだすくらいの気持ちで心を開いていくことです。おなじみのお客様とはそうやって関係を築いてきました。待っていては向こうから心は開いてくれませんし、お客様にも本当に言いたいことを言ってもらえません。
　ただあくまでも私は販売員で、相手はお客様です。失礼がないように、そのけじめはつけているつもりです。「なにかない」と来られた方に、「今日はおすすめできるのない。こんどまた来て」と言うふうに応えることだってあります。今日売ることより、もっと大事なものがあるのです。
　髪の毛を染めたり、大きな声で笑ったり、いつもギャグを言ったりしていると、結構ワルに見られがちなんですけど、けじめや躾にはこだわるほうです。挨拶やごはんの食べ方、人とのつきあい方…。スタッフには口うるさい先輩だと思われていると思いますよ。でも言われなければわからないし、言うべきことをはっきり言うから、逆に楽しい売場ができてるんだと思っています。
　養護学校のお客様は、店でのひとときを心から楽しんでくださいました。そのお手伝いができたことが心をこんなに熱くするんでしょうか。思い出すたびに涙がでそうになります。
　店長は去年の６月に福岡にきたばかりなんですけど、この何ヶ月間で随分変わりました。やさしくなったというか、涙もろくなったというか…。お弁当のときも店で写真を撮ったときも、店長や他のスタッフもみんなでウルウルしていましたよ。
　お客様が思わず足をとめるような、笑い声の溢れる楽しい売場をつくりたいです。そしてこんな私を支持してくださるお客様、おなじみのお客様を増やしていきたいです。そして店での感動物語に、これからもいっぱい触れられたらと思います。販売員になって本当によかったです。

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