年度別受賞作品
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大切なもの

第08回 2004年度 受賞作品
受賞者インタビュー
作者名:小林泰幸
所属企業:㈱ザ・クロックハウス 苗穂店

記事(紹介文)

第8回(2003年) 優秀賞 「大切なもの」
㈱ザ・クロックハウス 小林泰幸さん

― 受賞を聞いたときの感想は?

小林 正直言って忘れていましたので、何のことだろうと思いました。次ぎにいいんだろうかと思いましたね。でも自分の気持ちにしまってあった、今自分の販売の基本となっている話を書いたので、それが認められたことは大変嬉しいです。

― エリアマネージャーの仕事について訊かせてください

小林 青森まで含めた地域を北海道デビジョンとしています。今エリアマネージャーは3名で自分の担当は5店舗です。札幌3小樽1旭川1店舗を担当しています。
 あれは97年のできごとなんです。お子様の形見の目覚まし時計の修理の話なんですが、直ってきた時計のガラス面にお客様にはわからないであろう傷があった、言おうか言うまいか悩んで結局お客様に言ったという話。あのことがなければ販売の姿勢が多少とも違っていたかもしれないと思います。クロックハウスに入ったのは96年ですが、販売という業務についてからはちょうど10年目なります。10年前というと北海道はまだバブルの余波があって面白いようにいように売れる時期でした。
 こちらに入る前に北海道で一番時計が売れるという売場に派遣販売員でいっていたんですよ。その時は売ればいいと言う意識だったんですよね、実際売れましたしね。ちょっと天狗だったかも知れません。そういったときにこの経験は私にいろいろなことを教えてくれました。今でも自分の部下には折を見てこの体験を話しています。

― 派遣販売員と言うのは元来販売と言う仕事が好きだったんですか?

小林 いいえ、違います。元々は時計メーカーの商品部にいたのですが人員整理になって、派遣販売員になってと言われ、はじめは無理と断ったのですが、そうすると職を失いそうになったので、慌ててやることになったんです。最初の一年間はいやでいつ止めるかそのことばかり考えていました。
 派遣はアルバイトだったので、大学卒業時にご縁があってこちらにお世話になりました。もともと時計は好きでしたので、時計以外で販売をすることは考えられなかったのです。

― 時計には商品+αがありますよね?

小林 時計は商品といっても、形見だったりというように気持ちが入っていることがかなり多いですね。形見なので、修理して、電池を交換してという依頼は1ヵ月に何件もあります。最近は時間は携帯見るから時計は要らないという若い方が多いのですが、そういうときには時計の持つプラスαの話をしたりします。携帯の普及のより時計離れはたしかに起こっています。3月は地形が良く売れる時期だったのです、節目には時計と言う感覚はなくなりましたね。時計同士の競合ではなくて、ゲームや携帯のように他のものとの競合になっています。ただ真中の層は抜けているのですが、2極化しており、ファッションに合わせて手ごろな価格の時計をファッションに合わせいくつも持ったり、また5万円の時計を買うなら10万、20万のものを買って行かれるOLの方はいらっしゃいます。

― ウインタースポーツは得意なんでしょうね

小林 やはり冬の遊びはスキーでしたね。子供たちで近所の山に行く。近所のお兄さんが教えてくれました。今は札幌なのであまりスキーはしません。冬休みのときは家でゴロゴロしているのが好きなんです。でも散歩は好きでブラブラ歩いています。友達も田舎から出てきて札幌にいる友達はおおいですね。東京に出張に行くようになって北海道の食べ物は美味しいいいんだなと思うようになりました。

― エッセイの話に戻りますが、始めに修理を頼まれたとき直ると思いましたか?

小林 正直言って古くてもう部品もないだろうと思われたので無理だと思いました。多分2000円もしないで売っている目覚ましで、修理すれば4000円くらいかかってしまうので、お客様の多くは新しいものを買われることが多いんです。それと正直な話修理を1個預かって直すというのは時間もですが手間もかかるんですね。目覚ましの場合梱包する箱も必要ですので、腕時計より数倍手間がかかります。ということで買ったほうが早いとあの時は正直思いましたね。
 ただ形見の品だと聞いたからではないのですが、何かをお客様にして差し上げることが大切ではないかと思ったんです。その時も直らないだろうと思う気持ちは同じでしたが、何もしないで直らないというのではなく、努力した結果が直らないのであればお客様も納得してくださるだろうと思ったんです。
 そこまで販売員はしなくてはならないんだと思います。はじめから駄目というのと、アレコレしましたがどうしても駄目だったんですと言うのではお客様とのふれあいに雲泥の差がその時点出てきますよね。本当にこの本のサブタイトルもふれあいという舞台(ステージを)を販売員がどう演出していくかなんですね。
 「本部はお店のためにあり、店はお客様のためにある。」というのが会社の社訓です。お客様に誠意を尽くすということだと思います。はじめは直らないだろうと思っていた時計が直ってきたときは私自身小躍りするくらい嬉しかったです。ただ、次にガラスの傷を見つけて奈落の底に落ちるんですけどね、あのときが私の販売人生の中で一番きつかったですね。文章にも書いたんですが、本当に言わなければわからない程度の傷だったんですよ。だから本当に悩みましたね。悩んで悩んで、でもお客様が歩いて来られる姿を見たとき、ふっと「言おう!」と思ったんです。
 時計を扱っていると電池交換などの時にどうしても時計に傷をつけてしまうことが100%ないとは言えないんです。そういうときに、黙って渡してしまうことのないよう口をすっぱくして言ってっています。

― これからの方針、豊富はありますか?

小林 10年目を迎え、自分の中では販売という世界の入り口にようやく入れたなという思いがしています。これからどんどん中に入りこんでいきたいし、これからその世界にドアをノックして入ってくる人がいるわけですから、そういう人達にはこういうものだよと伝えていきたいと思っています。はじめから販売員になりたいと思って入ってくる人は少ないと思います。給料とかいろいろな条件で入ってくる。そういう人達に一生懸命やればこんなに楽しくて、奥が深いんだよと言うことを伝えていきたいと思います。

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