年度別受賞作品
退職や転居等により氏名公表許諾未確認の方のお名前は割愛させていただきました。
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修理靴はりんご?

第09回 2005年度 受賞作品
受賞者インタビュー
作者名:山口 豊
所属企業:㈱銀座ヨシノヤ 山形大沼店

記事(紹介文)

第9回(2004年) 最優秀賞 「修理靴はりんご!?」
㈱銀座ヨシノヤ 山形大沼店店長 山口 豊さん

― 最優秀受賞おめでとうございます。男性の受賞は久しぶりです。

山口 総務部長からの電話で受賞を知りました。私を驚かせようとわざと暗い声で「いい話みたいだよ」と…。エッセイのことはすっかり忘れていたので、何がなんだかわかりませんでした。それに最優秀賞がどういう位置づけの賞かもわかりません。後で700作品の一番上と知って、嬉しいというよりただただ驚きました。

― ずっと本部勤務後の販売職、しかも初めての土地で初の店長職と伺いました。

山口 去年の3月に山形に来る前は、上野で1年間販売を経験しましたが、入社以来ずっと本部勤めでしたので、わからないことだらけ、正直言って最初は大変でした。それまで応援の形で販売の経験はあるものの、今回は責任も重く、裏で伝票処理もしなくてはなりません。最初は気持ちに余裕がなく、常にアタフタしている状態でした。
 上野は、気さくな下町で靴を買わなくても「山口さん元気?」と買い物帰りに声をかけてくださるような土地でした。江戸っ子気質というのかお客様とはどんどん会話が弾むんですね。ところがこちらでは、私の接客が不慣れなせいもあるものの思い切って声をかけると帰られてしまうことが多々ありました。男の販売員は嫌われるのか、それとも私は背が高いので威圧感があって避けられてしまうのだろうかと結構真剣に悩みました。
 ちょうどその頃、エッセイに書いた内容の出来事があったんです。心も体もガチガチになっていた私の心に、ホッと温かい何かを感じさせてくれました。机に置かれたりんごを見ているとお客様の温かい気持ちが伝わってきました。落ち込んでいた私を勇気付ける魔法のりんごに思えましたね。この出来事は私の山形生活の原点と言えるかもしれません。

― 「靴はヨシノヤ」という固定ファンが多いと聞きますが。

山口 「履きやすい」と皆様に言っていただいています。しかし万が一私たち販売員が1足でも合わない靴をお薦めしたら、「履きにくい靴のヨシノヤ」になってしまいます。たくさんの商品の中には、その方に合う靴と合わない靴があるはず。信頼を裏切らないためにも、何度も試していただいて、本当にあった靴をお薦めしたいと思います。いろいろな靴をお試しいただく中でお客様の好みの色・形なども理解することができますし、お薦めするべき靴がわかってきます。たとえその場でお買い上げいただかなくても、必ず次の機会に続くはずです。
 今回のことで、私たち販売員が職人さん達をはじめ、営業スタッフを全面的に信頼していることを再確認しました。修理を依頼された時、お客様をお待たせして問い合わせをしなくても「やってみましょう」と言える。最前線の販売員がお客様にいい顔できるのは、われわれが全面的にバックを信頼できているからこそなんですね。
 エッセイのお客様も、わたしが「とにかく預かってみましょう」の言ったことであんなに喜んでいただけました。でもそれは私の後ろにいる同僚たちのおかげだということですよ。
 最近は、店の前を通りがかったお客様から「この前の靴、とっても履きやすいわよ」と言われるようになりました。本当に嬉しいですね。そういう声がたくさん聞けるようこれからも頑張っていこうと思います。

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