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心の部分
第10回 2006年度 受賞作品
受賞者インタビュー
作者名:石井裕之
所属企業:㈱新星堂 柏店
受賞者インタビュー
作者名:石井裕之
所属企業:㈱新星堂 柏店
記事(紹介文)
第10回(2005年) 優秀賞 「心の部分」
㈱社新星堂 ロックイン柏店 石井裕之さん
― 2005年『あったか・えっせい』優秀賞おめでとうございます。
石井 有難うございます。“各店必ず応募”といことになり、「石井出してみないか」という話になりました。柏店に来てちょうど1年です。節目の意味もあり、私に声がかかったのかなと思っています。
“えっせい”の存在は前から知っていましたが、まさか自分が書くことになろうとは…(笑)。ましてや優秀賞をいただくなんて想像もできなかったことです。
― エッセイを書くことで皆さんに販売の素晴らしさを再認識していただけたらと思っているのですが……。
石井 そうですね。最近はあちこちで機械処理が目立ちますが、販売の仕事はまさに“人と人のつながり” “ハンド イン ハンド”です。今回のエッセイはその原点を再認識するよい機会になりました。
文章中の男性はお仕事の合間に立ち寄ったようで、ウィンドウの前に佇み、じっとクラリネットを見比べている姿が印象的でした。ご説明した方がいいと思い声をかけました。お話をしていくうち、九州に住む娘さんに部活で使うクラリネットを送りたいということがわかりました。出張の多いお父様はお嬢さんとは長い間話もしていなくて、気持ちもすれ違ってしまっている微妙な関係のようでした。自分の代わりに手紙を書いてほしいと頼まれたときは、その関係に自分がどう関わったらいいのか悩みました。お父さんが本当に一生懸命クラリネットを選んでいたということ。父親が娘に誕生日プレゼントを贈りたいという気持ちはわかってほしいこと、を素直に私なりの言葉で手紙に書きました。
私にも娘がいるので、お父さんの気持ちが痛いほどわかったんです。どうにかこのお父さんの気持ちを娘さんに上手く伝えたいと懸命になっている自分がいました。だから数日後の娘さんからのお礼の電話は、驚くと同時に本当に嬉しかったです。方言が交じった小さな声でとつとつと話す娘さんの様子から、お父さんに対する気持ちが伝わってきて胸がいっぱいになりました。クラリネットという楽器が、また私という一販売員が、微妙な父娘関係の役にたてたのなら販売員冥利につきますね。販売の仕事って本当にモノを売るだけじゃない、と改めて気付かせてくれた出来事でした。
手入れをきちんとして、大切に扱っていれば楽器はいつまでも使うことができます。奏でる人の想いが商品にこもりやすく、またこめやすい。実は我が家も楽器だらけで、「これ要らないんじゃないの?」と処分されそうになりますが、頑張って貯めて買ったものだし、それを弾いていた頃の思い出もあり、どれ一つとして減らせません。ギター一本一本に私の想いが入っているからです。変な話ですが、自分が死んだ時、お世話になった人に形見としてあげたいと思っているんですよ。
― 接客で特に気をつけていることはありますか?
石井 以前はがむしゃらに売っていたように思います。こちらから一方的にひたすらしゃべっていたかもしれません (笑) 。今は10受けて1返す感じで、少し余裕を持って接客できるようになった気がします。
お年寄りには弱いですね。買った方が安かったり、有料修理の商品でも、何とかその場で直してあげたいと思ってしまう。「できるところまでやってみますね」っていつも答えています。「接客長いよ」と怒られることもしばしばですけどね。店まで修理品を持って来るだけでもお年寄りは大変なことです。せっかくお越しいただいたのだから、何かしら応えてあげないと…。空振りには絶対にならないようにと思っています。
― 販売の仕事を心から楽しんでいらっしゃるようですね。
石井 販売を楽しめるようになったのは3年間位前からでしょうか。以前はやはり数字ばかりを追いかけていました。売上げや予算ばかりに頭がいっていると、“接客で売る”という一番大事なことがおろそかになりかねません。
今までに多くのギターを売ってきましたが、“このギターはあの店員さんから買ったんだな”と、果たして何人くらいの方が思い出していただけるのでしょうか。“新星堂にはあの人がいたな” とか“行けば会えるかな” “前回あの店で買ったから今回も買おう”と思っていただけたら大変嬉しいですね。親・子ども・孫と世代を越えた長いお付き合いができたら最高です。接客の最終点は、“この人から買って良かったな”と思われることかなと思うようになりました。販売員としていつまでもお客様と接していきたいですね。
㈱社新星堂 ロックイン柏店 石井裕之さん
― 2005年『あったか・えっせい』優秀賞おめでとうございます。
石井 有難うございます。“各店必ず応募”といことになり、「石井出してみないか」という話になりました。柏店に来てちょうど1年です。節目の意味もあり、私に声がかかったのかなと思っています。
“えっせい”の存在は前から知っていましたが、まさか自分が書くことになろうとは…(笑)。ましてや優秀賞をいただくなんて想像もできなかったことです。
― エッセイを書くことで皆さんに販売の素晴らしさを再認識していただけたらと思っているのですが……。
石井 そうですね。最近はあちこちで機械処理が目立ちますが、販売の仕事はまさに“人と人のつながり” “ハンド イン ハンド”です。今回のエッセイはその原点を再認識するよい機会になりました。
文章中の男性はお仕事の合間に立ち寄ったようで、ウィンドウの前に佇み、じっとクラリネットを見比べている姿が印象的でした。ご説明した方がいいと思い声をかけました。お話をしていくうち、九州に住む娘さんに部活で使うクラリネットを送りたいということがわかりました。出張の多いお父様はお嬢さんとは長い間話もしていなくて、気持ちもすれ違ってしまっている微妙な関係のようでした。自分の代わりに手紙を書いてほしいと頼まれたときは、その関係に自分がどう関わったらいいのか悩みました。お父さんが本当に一生懸命クラリネットを選んでいたということ。父親が娘に誕生日プレゼントを贈りたいという気持ちはわかってほしいこと、を素直に私なりの言葉で手紙に書きました。
私にも娘がいるので、お父さんの気持ちが痛いほどわかったんです。どうにかこのお父さんの気持ちを娘さんに上手く伝えたいと懸命になっている自分がいました。だから数日後の娘さんからのお礼の電話は、驚くと同時に本当に嬉しかったです。方言が交じった小さな声でとつとつと話す娘さんの様子から、お父さんに対する気持ちが伝わってきて胸がいっぱいになりました。クラリネットという楽器が、また私という一販売員が、微妙な父娘関係の役にたてたのなら販売員冥利につきますね。販売の仕事って本当にモノを売るだけじゃない、と改めて気付かせてくれた出来事でした。
手入れをきちんとして、大切に扱っていれば楽器はいつまでも使うことができます。奏でる人の想いが商品にこもりやすく、またこめやすい。実は我が家も楽器だらけで、「これ要らないんじゃないの?」と処分されそうになりますが、頑張って貯めて買ったものだし、それを弾いていた頃の思い出もあり、どれ一つとして減らせません。ギター一本一本に私の想いが入っているからです。変な話ですが、自分が死んだ時、お世話になった人に形見としてあげたいと思っているんですよ。
― 接客で特に気をつけていることはありますか?
石井 以前はがむしゃらに売っていたように思います。こちらから一方的にひたすらしゃべっていたかもしれません (笑) 。今は10受けて1返す感じで、少し余裕を持って接客できるようになった気がします。
お年寄りには弱いですね。買った方が安かったり、有料修理の商品でも、何とかその場で直してあげたいと思ってしまう。「できるところまでやってみますね」っていつも答えています。「接客長いよ」と怒られることもしばしばですけどね。店まで修理品を持って来るだけでもお年寄りは大変なことです。せっかくお越しいただいたのだから、何かしら応えてあげないと…。空振りには絶対にならないようにと思っています。
― 販売の仕事を心から楽しんでいらっしゃるようですね。
石井 販売を楽しめるようになったのは3年間位前からでしょうか。以前はやはり数字ばかりを追いかけていました。売上げや予算ばかりに頭がいっていると、“接客で売る”という一番大事なことがおろそかになりかねません。
今までに多くのギターを売ってきましたが、“このギターはあの店員さんから買ったんだな”と、果たして何人くらいの方が思い出していただけるのでしょうか。“新星堂にはあの人がいたな” とか“行けば会えるかな” “前回あの店で買ったから今回も買おう”と思っていただけたら大変嬉しいですね。親・子ども・孫と世代を越えた長いお付き合いができたら最高です。接客の最終点は、“この人から買って良かったな”と思われることかなと思うようになりました。販売員としていつまでもお客様と接していきたいですね。