年度別受賞作品
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私を子供にしたおじいちゃま

第13回 2009年度 受賞作品
受賞者インタビュー
作者名:南まど香
所属企業:株式会社 ドンク 北白川店

記事(紹介文)


第13回(2009年) 優秀賞 「私を子供にしたおじいちゃま」
㈱ドンク 北白川店 南 まど香さん

 エッセイは5月に提出していたのですっかり忘れていました。実は「そろそろかなあ」と思い出していたんです。そんな時に受賞のお知らせをいただき、本当に驚きました。
 店長から「書かない?」と言われたのが応募のきっかけです。近くの病院へのお義母様のお見舞いの帰りに必ずお越しくださったA様との話を書こうと、内容は直ぐに決まりました。
 私は若い頃父を亡くしたせいか、年配の男性がちょっと気になります。ただA様が私の笑顔を褒めて下さらなかったら、こんなに親しくはならなかったでしょう。
 ご来店の度に「ありがとう!君はええ子やな」と言って下さいました。母親としての私は、家ではいつも支え役。自分がメインになることも、勿論褒められることもありません。そんな私の日常の中にA様が登場し、褒めてくださる。いつの間にか親に褒めてもらいたくて頑張る子供のようになっていました。元産婦人科医のA様は、時間が許す限りいろいろなお話をして下さいました。ひとつの笑顔、ちょっとしたひと言が人と人の心の繋がりを作り、その結果、お客様に心地よく店で過ごしていただけることをA様から教わりました。一杯のコーヒーのサービスから、お客様との温かい触れ合いが生まれるのです。
 接遇の仕事は常に見られ、緊張するものです。もちろん人間ですからミスもあります。大変と感じた時その大変さを一人で抱え込むと、かえってミスも生まれます。もちろんミスが極力ないよう気を抜かないことは大切ですが、お客様が多くて忙しい時には「大変やな」とスタッフ同士声を掛け合うようにしています。
 毎日同じことの繰り返し。お客様がいらっしゃると注文をとって、お帰りになられたらテーブルを片づける。マンネリになってしまいがちですが、そうなっては楽しく仕事ができません。そうならないようお客様と話したり、スタッフと声を掛け合ったりしています。A様との出会いがそう思わせてくれたのかもしれません。
 店と家が近いこともドンクを勤め先に選んだ理由のひとつです。でもできるなら自分が好きな所で働きたいと思っていました。ここ数年、色々な生地のパンが増え、子供もドンクのパンが大好きでお気に入りの店でした。土日は家族優先という希望も受け入れていただき、本当にありがたい職場だと感謝しています。ここでは「南さん、これお願い。あれ手伝って」と言われます。自分の存在価値があるように思えてとても嬉しいです。主婦って認められることがあまりないですよね。
 店ではスタッフ間の信頼が何といっても大事。皆がお互いを信じ、任せ合える居心地の良い雰囲気を作っていきたいと思います。私が一番年上ですしね。今はパートにも研修があるのですが、会社の歴史や方向性、考え方などを学ぶと仕事への意識はとても高まります。ドンクにいる4500人のパートは皆お客様との物語を持っているはずです。私の受賞をきっかけに皆がもっと応募しくれたらと思います。
 お客様にとっては社員もパートも関係ありません。気持ちよくお店で過ごしていただけるよう心を込めてお客様と接していきたいです。

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