震災がわたしに教えてくれたこと

第15回　2011年度受賞作品
受賞者インタビュー
作者名：佐藤純子
所属企業：㈱生活の木仙台パルコ店

記事（紹介文）

第１５回（2011年）　優秀賞　「震災がわたしの教えてくれたこと」
㈱生活の木　仙台パルコ店　佐藤純子さん

―　震災の日は本当に大変だったのですね。

佐藤　文章にも書きましたが、あの時は多くのお客様がキャーと騒然となって大変でした。私は学生時代に運動をしていて大声を出すことに慣れていましたから、先ず落ち着いて頂くように何度の何度も案内しました。
　私にとっては初めての避難訓練の日に起こった地震。細谷マネージャーからエッセイ応募の話をいただいた時、地震のことは書きたくないと思いました。でもよく考えてみると実際に大変なことに出会って、あの出来事を皆に伝えることも必要かなと。本当に大きな体験だからこそ自分自身にも皆にも残さなくてはいけない、それに避難訓練を受けたその日にあんな大きな地震に合うなんて…。そのことをやはり書かずにはいられませんでした。

―　今回受賞の知らせはどのように？

佐藤　マネージャーから「良い知らせ」があると電話で言われ、翌日店で直接聞きました。前日の「良い知らせ」という言葉に何だろうと…。「佐藤が何かやった？」とスタッフ皆で話し合いにまでなりました(笑)。あるスタッフが「エッセイじゃないの？」と言いましたが、私は絶対あり得ないと思っていました。実は今まで受賞の実感がなかったんですが、今日インタビューを受けて「本当なんだ」と初めて思えました。

―　入社間もないとお聞きしました。

佐藤　２月に入社したばかりです。学生時代にアロマ検定も受けたり、自宅でいろいろ作ったり、もともとアロマには興味があって、お店にはよく通っていました。社会人になって仕事にストレスを抱えて体を壊してしまった時、家族の奨めもありアロマの教室に行ったりしているうちに、当社の募集を知りました。「生活の木」の信条に“人の喜びと幸せの為に”という言葉があります。“人を癒す”という言葉も気に入っています。
　アロマには一瞬でもほっとできる瞬間があります。それぞれの方に合う香りがあります。その香りの精油成分が体と心を癒してくれるのだと思います。悩みや問題を抱え悩んでおられるお客様が、ご自分の好きな香りで少しでも癒されたら、それは本当に嬉しいことです。

―　地震の後、変わったことはありますか？

佐藤　自分は家も家族も無事でした。恵まれていることを実感しています。もちろんライフラインが途絶えたり、食料を買うために何時間も並んだりという苦労はしましたが、そのことで辛抱強くなれましたし、自分としては精神的に強くなれたと思います。
　私自身今回避難訓練を受けていなかったらパニックになっていたと思います。トイレを我慢しない、お財布にはお金を入れておくとか、心も体もゆとりを持って何事も行動するべきだと、準備をしておくことの大切さを学びました。
　半年が経ち、この文章を読み返してみると忘れていることがありました。お店に立てる喜びとか、お客様に商品をお渡しできる喜びとか、今では当たり前になっていることが、あの時はあれほど嬉しく感謝していたんだなと…。この時にはこんなことを思っていたんだとはっと気づいたんですね。改めて基本に戻ることができました。これからももし迷うようなことがあったら、この文章を読み返すつもりです。
　震災後、被災地ではアロマに関する催し物がいろいろ開かれていると聞きます。それを機に、「アロマを始めてみたいけれどよくわからない」とお店に足を運んでくださるお客様も増えています。初心者にわかりやすいコーナーを作って、多くの方にアロマを紹介したり、皆さんに一瞬でもホッとできる時間を作るお手伝いができればと思っています。

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