第2回選評

第02回 1998年度 受賞作品
選評
作者名:高見マーケティング研究室主宰 実践女子大学講師 高見俊一氏
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記事(紹介文)


 感動に記録は、素晴らしい。私の手許に、事務局の第1次選考を通過した作品が年末に届けられました。年始にかけて、何度も読み返しました。最初は、甲乙つけがたい作品ばかりで、どのような基準で選べばよいか大いに悩むとともに、感動の記録を順位つけることに責任を感じました。
 すべてが、お客様との触れ合いがきっかけになっていますが、販売の素晴らしさを教えられたケース、難問を投げ掛けられ、解決への努力のプロセスで何かを教えられたケースに大別されました。前者はそのようなお客様に巡り合った幸運(普段の努力があるからですが)とその事に気づいた販売員のセンス、そして後者は、強烈な問題を提示され、普通であれば、諦めお客様を逃がしてしまう所を、粘りと努力で、お得意様にしてしまう真摯な姿勢、わずか1200字前後の表現の中にドラマが展開されています。
 最優秀賞に輝いた西條裕美子さんの「心にしみた「ありがとう」」、西條さんが、お客様の立場を考えて、自社の他店から商品を取り寄せて差し上げることでお客様から感謝される。その時に、「ありがとう」の言葉をもつ素晴らしさを実感する。「ありがとう」は、ごく一般的な言葉になっていますが、心のこもった「ありがとう」が行き交う売場は、多分、混雑の中に、清涼な高原の空気に溢れるような雰囲気にあるものと思います。誰もが、一歩足を踏み入れた時、感じるはずです。出張の折にはぜひ立ち寄ってみたいと思いました。
 次に、川端美代子さんの作品。店のルールを守りながら、毎回、値引きを要求するお客様に必死で応対する川端さん。ともすれば、お客様が怒ってしまいそうな状況をくぐり抜け、お客さまでありつづけさせている姿勢、具体的な表現は作品にありませんが、何かを感じます。そして、お客様の入院を知り、病院を探し当て、お見舞に訪れる積極性、ここにもドラマを感じます。値引き攻勢を諦め、H攻撃(?)戦術を転換してきたお客様、きっとこれからも長い信頼関係が続くことでしょう。
 その他の作品では、優秀賞の山田慎吾さんの粘り強い接客、結局、最後は、お客様の満足を得るまでの長期にわたる苦闘、おそらくは、お客様に満足いただいたという達成感と目に見えにくい不満がどこにあったかのかを勉強したことと思います。表面的にはわかりにくいお客様の不満を解消することが、お店への信頼を確立するポイントです。
 同じく優秀賞の㈱新星堂の久野さんの作品は、高校時代の恩師の教え「わからないのではなく知らないと答えろ、より正確に言えば知ろうとする努力を放棄していますよと答えるべきだ」を思い出し、お客様の質問に、わからないことは調べ真剣に答える姿勢は誰もが好感をもって受け止めてくれるはずです。つい最近、大手書店でおざなりの答えしか得られなかった経験からそのことを強く感じました。
 絞り込まれた全作品に共通することは、お客様との出会い、触れ合いの中から何かを気付き、啓発され、それを実践に移す努力がされているということです。「販売職」は、心の持ち方、仕事への取組姿勢によって、いくらでも素晴らしい仕事に変わるのだという事を「今回の審査」を通じて改めて学ぶことができました。「ありがとうございました」。次回も感動的な作品が数多く寄せられることを期待しています。

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