第6回選評

第06回 2002年度 受賞作品
選評
作者名:高見マーケティング研究室主宰 名古屋学芸大学教授 高見俊一氏
所属企業:

記事(紹介文)


 昨年は、関係の皆様のご支援をいただき、これまでの入賞作品を集大成した「わたしの販売物語―あったか・えっせい作品集―」(繊研新聞社刊)を出版することができました。販売という仕事の素晴らしさが集約されています。そして、2002年『ふれあい舞台』として新しいラウンドを迎えました。今回の応募作品数は、販売部門354作品、お客様部門141作品に達し確実に定着しつつあります。
 今年の特徴は、劇的というよりも比較的日常的な関係の中での感動が綴られていたように思います。特に、お客様部門では、マニュアルを超えた販売スタッフの対応が個性的で、対応法は無数にあるとの感じをいだきました。
 最優秀賞 山川めぐみさんの作品「私の感動体験記」は、群を抜いたレベルと評価しました。店長としての責任感、ていねいな気配り、「万引き」という事実に対する真摯な対応は、不快と気まずさの残りがちな結末を見事に感動に昇華させています。
 販売部門の優秀賞、藤和江さんの「赤い椅子」は、日常的な繰り返しの仕事に誠意を込めてすることの大切さを教えてくれています。輝いている赤い椅子が目に浮かぶようです。お客様部門の優秀賞、大原剛さんの作品「家族アルバム」は、家族の記念写真を毎年撮り続けてきた写真館のおばさんが、人知れず、その写真をアルバムにしてくれていた。そのことを知り、失業に直面していた作者が再就職に向けてのエネルギーを与えられる。純粋なお客様への感謝の気持ちが心の通い合いを生んだ話です。
 佳作に入った作品は、甲乙つけがたく結果としては、つぎの4作品、「あなたのことが大好きです」(松田みきさん)、「実家」(小笠原隆さん)、「約束の五百円玉」(伊藤さやかさん)、「スロープ」(安藤留美子さん)が、それぞれ状況は異なりますが、いずれもハンディキャップをもつお客様との触れ合いがテーマになっています。お客様が想像以上にお店で買い物をすることを躊躇されている様子が伝わってきます。その壁を破るために積極的に誠意を持って接することが必要であることを教えてくれます。そして、「ガラス越しの会話」(香川裕嗣さん)は、パンづくりの仕事で壁につきあたっていた作者が、少女との出会い、励ましによって迷いがふっきれるという話ですが、ほのぼのとしたものが伝わってきます。
 お客様部門の佳作作品では、「忘れ得ぬS自転車店主の好意」(弘中恵子さん)に、商店街ならではの心の触れ合いを通じての感動が、また、「今日のお店の目玉商品は?」(南剛史さん)は、親切に道案内をしてくれた和菓子屋さんの販売員の「今日の目玉商品は、私の笑顔です」という言葉への感動が伝えられています。いずれも、純粋な気持ちでお客様に接する姿が、お客様の心をうっています。そして、「元気の箱」(広岡由美さん)は、精神的、身体的に疲れていた作者が、販売員の工夫で、開けるたびに元気の出る箱を作ってもらうことで、元気を取り戻す話です。なんと個性的な接し方があるのかと感心してしまいました。
 毎年のことですが、審査を担当して、教えられることがあまりにも多いことを痛感します。それは、販売の仕事が深く、しかも人間的なことであることに根差しているのだと思います。最後に、販売職を希望する学生や若い社員の方々に、作品の何編かを読ませてみて下さい。感想を求めると販売の素晴らしさを知り、より一層販売の仕事をしたいという意を強くしたとの反応が返ってきます。教育効果は抜群です。素晴らしい教材としての有効活用をお勧めします。

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