年度別受賞作品
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第8回選評

第08回 2004年度 受賞作品
選評
作者名:高見マーケティング研究室主宰 実践女子大学講師 高見俊一氏
所属企業:

記事(紹介文)


 「あったか・えっせい」は専門店経営の中に「販売とは何か」を定着させる役割を果たしているとの実感を持ちました。会員企業の応募に厚みが増しています。応募作品数も、昨年を上回るお店(A)部門502作品、お客様(B)部門156作品になりました。
 最優秀賞の㈱ドンクの田中順子さんの作品「販売人生の親」は、辛口のお客様との出会いから、店メンバーが一丸となって努力、成長していく内容で、活力あるお店の雰囲気が伝わってきます。
 A部門の優秀賞、㈱ザ・クロックハウスの小林泰幸さんの「大切なもの」は、お客様の表情、仕草の変化を見逃さずにその意向を受けとめ対応し喜ばれるというストーリーですが、しっかりした文章でお客様とのやりとりが伝わってきます。
B部門の優秀賞、滝川梨江さんの作品は、店休日にもかかわらず、楽しみにしていた娘の誕生ケーキを作ってくれたケーキ職人から受けた感動の物語です。メルヘンの世界を彷彿させるものがあります。
 A部門の入賞作品は、甲乙つけがたくいつもより多い9作品を選びました。㈱虎屋の豊島麻希さんの「心に残るお客様」は、気むずかしさを感じたお客様に全員で対応、お得意様になっていただくという内容ですが、心暖かさを感じる作品です。㈱新星堂の佐藤香奈さんの「音楽という名の魔法を使って」は、音楽が好きというお客様との共通点、それが魔法のようにお客様とのつながりを緊密にしていく、「好き」という気持ちの力が伝わってきます。「女心」は林田純さんの作品。年頃の難しさを持つお客様に、その心を察しながら接客に成功する話です。「海を越えて」は、平川みゆきさんの作品で、お客様から信頼を得ている販売員が、まだ見ぬ海外にいるお客様の娘さんとのメールの交信で新密度を高めていく物語で「今」を感じます。「メガネへのこだわり」は㈱板垣の島田乃里子さんの作品で、子供のお客様のコンプレックスを解消した話、そして、「あたたかい言葉」は、真中裕美さんの作品。こちらは、やはり子供のお客様の卵アレルギーにさわらない商品をお薦めし喜ばれた話です。「お客様の支えで」は、植田ゆかりさん作品で、がむしゃらとも言うべき販売努力にお客様が応えてくれた想い出。そして、向知恵子さんの「一期一会」は、自分の経験からお客様に購入を決めた
商品の試着をお勧めし不具合がみつかり、感謝された話。と佳品が数多く見られました。
そして初めてのケースとして、桑原真奈美さんの作品を新人賞としました。祖父母の仕事への姿勢に刺激され販売の仕事のスタートを迎えようとする決意が新鮮でした。
お客様部門の入賞作品には、1編ですが、柴山ユミさんの作品が入りました。消費税にからむ話ですが、販売員の心やさしい機転を紹介しています。B部門には、毎年、心暖まる佳品が見られますが、来年に期待したいと思います。
 会員企業を中心に応募数の増加が見られ、「あったか・えっせい」への関心が年々高まりを見せていることを感じます。同時に、レベルの高いお客様に満足しお買い上げいただくには、商品の良さ、サービスの良さを本当に理解していただくことが大切だと思います。入選した作品の多くは、販売員の誠意ある接客が、お客様の心をうち、「あったか」な関係
が売り場でうまれていることを教えてくれています。
 販売がきびしいもの、つらいものという考えは、とっくに過去のものになったように思います。特に、若い人の間にはそのようなイメージはほとんど見られなくなりました。販売という仕事が一段進化したのだと思います。
 学生にタウンウオッチングということで、店の観察をさせますとそれまで客の目でしか見ていなかった店が、興味ある対象に見えるようになるという観想が多く聞かれます。お店は、まさに、お客様と販売員が演じるドラマの舞台であり、販売員は片方に主役を務めることになります。これからも「あったか・えっせい」に期待したいと思います。

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