幸せを運ぶ仕事

第17回 2013年度 受賞作品
入賞作品
作者名:  水木拝代
所属企業:  ㈱アスプルンド 札幌店

記事(紹介文)


 その日はイベント中で店内は大変混雑した休日でした。レジにはお会計を待つお客様で行列。レジスタッフもお客様を少しでもお待たせしないように、通常の倍の人数で対応していた日でした。
 そこへ1本の電話が鳴りました。「買ったはずのケーキスタンドが入っていません!」というお客様からの内容でした。
 「携帯電話で話しながらお会計しちゃって、その場では気がつかなくて……。」お申し出内容と共にレシートを確認していただいたところ、買ったと思っていたケーキスタンドはお会計されていませんでした。カウンターに預けたケーキスタンドをレジで買い忘れということだったのです。
 「今日それを使う予定で、朝から旦那さんと手分けして色々探し回って、やっと理想的なものに出会えたんです。電話の相手も旦那さんで……」
 お客様の声の感じからとても慌てた様子と困った感じを伺えたので、私は店内の様子を確認しながらも、思わず「分かりました! お届けします」と言ってしまっていたのです。
 実はこの日はまさに猫の手も借りたいくらいの混雑ぶりで、この日のために短期アルバイトで増員したいほど。しかし、私が居なくてもスタッフ達が頑張ってくれる! という確信がありました。
 幸い、お客様宅は往復1時間もかからないような場所でしたので、直ぐにお届けに向かうことができました。お客様に無事商品のお渡しが終え、帰ろうとしたところ、「あの、今日は娘の3歳のお誕生日なんです。それでお父さんが手作りケーキを作ってくれて、そのケーキをどうしてもこのケーキスタンドに置いてお祝いしたかったんです。是非、作ったケーキを見てもらえませんか!」
 お持ち頂いた手作りケーキには沢山のフルーツと、「3歳おめでとう!」と書かれた、お子様がすきであろうプリキュアのチョコレートプレートが飾られていて、愛情いっぱいの、とっても、とっても素敵なケーキでした。特別なケーキに、特別な演出をしたいという、ご両親の愛情いっぱいの想い。〝そっか! それにはこのケーキスタンドがどうしても必要だったんだ!〟 お子さんの成長が何よりも喜ばしく幸せなこと。ご両親の深い愛情にとても感動してしまいました。
 そして、「お子様はもちろん、お母さまも、お子様3歳おめでとうございます。」と、お伝えしたところ、目に涙を浮かべてらっしゃったのが印象的でした。
 お客様が商品を買った後の事、滅多に知ることできません。しかし、どのお客様にも『商品を選ぶこと』に色々な想いやストーリーがあると思ったら、日々私たちがそこに携わらせてもらっていることに責任を感じ、それと同時に少し誇りにも思えました。
 このことで販売という仕事は、お客様に『幸せを運ぶ仕事』なのだと教えて頂きました。
 それを知れただけで今日も自然と笑顔になります。
 お客様に感謝です。

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