幸せなあたりまえの言葉

第20回 2016年度 受賞作品
入賞作品
作者名:  今村郁子
所属企業: ㈱ドンク

記事(紹介文)


 一昨年の9月末、百貨店の閉店に伴い、多くのドンクファンのお客様に惜しまれながら沖縄三越店は閉店日を迎えました。沖縄県にはドンクの店が1店舗しか無いのに、そのドンクが閉店……。その日、たくさんのお客様に来店していただき、たくさんのパンを買っていただき、たくさんの「ドンクがなくなると困る」という言葉と、たくさんの「ありがとう」の言葉をいただきました。
 毎日フランスパンを買いに来て下さるA様からは、「いろんなお店のフランスパン食べたけど、ドンクがいちばん。違うねー」、週に2回ハードトーストを買いに来て下さるB様からは、「明日からの朝ごはん、どうしよう。ハードトーストじゃなきゃ食欲がわかない」、毎週末、車で1時間以上もかけてドンクのパンを買いだめに来て下さるC様からは、「毎週末那覇に来る理由がなくなった。寂しいなー」、県外から転勤で来ているD様からは「沖縄に来て、やっと美味しいパン屋さんを見つけた時は嬉しかったです。ありがとうございました」、毎日菓子パンを1、2個買いに来てくださるE様からは、「あなたたちの顔が見られなくなるし、おしゃべりができなくなるから寂しいわ。ここのパンも食べられなくなるしね」、ドイツパンを焼く日に必ず来て下さるF様からは、「沖縄では本格的なドイツパンは食べられないから、また必ず帰ってきてね」と、他にもたくさんのお客様に声をかけていただき、この店の販売員をしていて良かったと心から感じました。
 そんな大切なお客様にいつも普通に当たり前のように言っていた「ありがとうございます、またどうぞお越しくださいませ」という言葉。明日からは店がないから言えません。
 あの日から約半年。昨年の3月27日、またこの地に新規オープンすることができたのです。ありがたいことに私もこの店の一員に。
 ドンク沖縄店のオープンを待っていたたくさんのお客様で行列ができました。泣きそうなのを堪えながらレジ打ちしていると、
「おかえりなさーい、待ってたよ」
「おめでとう、オープンしてくれて嬉しい!」
「またドンクのパンが食べられる、良かったぁ」
「うちのお婆ちゃん、ドンクの食パンじゃなきゃ食べないのよ」
「やっぱりフランスパンはドンクだよな~」
などなど、嬉しい言葉をたくさんいただいたのです。
 お返しする言葉はもちろん、「ありがとうございます、またどうぞお越しくださいませ!」
 なんて幸せな言葉なのだろう。なんてありがたい言葉なのだろう。
 明日からも、ずっとこの〝幸せなあたりまえの言葉〟が言えるのを願って、お客様に感謝の気持ちを忘れず頑張って行きます。

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