心の声にこたえて

第03回 1999年度 受賞作品
入賞作品
作者名:(氏名割愛)
所属企業:紳士服販売店勤務

記事(紹介文)

 
 自分が接客を仕事とするようになって12年。 今までいろいろなお客様に接してきましたが、私の接客体験の中でもとくにインパクトがあったのが、今勤務している店に来て2ヶ月目に入ったころのできごとです。
 新しい店に来て、店のメンバーのことも、客層別の来店構成、年代別の買い方や特徴、地域での自店の人気度など、ある程度わかりかけてきた頃です。30代後半の男性が1人で来店されました。近くにいた人が接客しに行ったのですが無視されてしまい、そのお客様から離れてそのままになっていました。そのお客様がまだ店内にいるのに自分が気がついたのは、それから10分ほど後でした。
 見かねてそのお客様にアプローチをしたところ、やはり全くの無視でした。買う気のないお客様ならもう店を出ていってもおかしくないほど時間もたっているし、販売員についてもらいたくないお客様なら、うっとおしがるか、何らかのアクションをとるのですが、こちらを無視したままずっとスーツ売場にいました。それから五分ほど経って、お客様と目が合ったときに初めてお客様から私を呼ぶ手招きがありました。
 近づいてみると、その人は耳が聞こえなくて、話すこともできないんだとジェスチャーしてくれました。私は急いで紙とペンを取ってご要望を一つ一つ書き出しました。20分ほどかかりましたが、お客様のニーズに合う物があり、とても喜んで帰って行かれました。
 初めにアプローチした販売員も、お客様が帰られた後で、「まさか耳が聞こえない人だと思わなかった。ずっと無視されたから接客についてもらいたくないと思った。悪いことをしてしまった」と後悔していました。私は後からアプローチして販売することができましたが、もし初めにアプローチしていたら、そのお客様の耳が聞こえず話せないということに気づいてあげられただろうかと思うと自信がありません。
 しかし、下見であろうと何であろうと来店されるということは、何かご要望があるわけです。これからも一人一人のお客様のニーズを聞き出し、接客していきたいと思います。

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