まずは私にお聞きください

第04回 2000年度 受賞作品
入賞作品
作者名:(氏名割愛)
所属企業:薬粧品販売店勤務

記事(紹介文)

 
 「疲れた! 元気になる薬ちょうだい! 今までいろんな薬を飲んだけれど、ちっとも効かない! 今すぐ効くのを出してちょうだい!」こう言って店に入って来られたのが、Aさんと初めて会った時だった。そんな夢のような薬、内心「困ったお客様だ」と思ったが、ここは、薬の効き目と一緒に暗示を大いに効かせるしかない。いわゆるプラセボーの効果だ。「お客様、これを1本飲んで下さい。この店の中で一番高い、1本3000円もするドリンクです」「本当に効くの?」「効きます! 一度試してください! 飲むとしばらくして何でもやる気が起こってきます」「じゃあ試してみる。2本ちょうだい!」と言って帰って行かれました。
 それから私は、そのことをすっかり忘れていました。そして1ヶ月後、再びそのお客様が来店されて開口一番「あのドリンク、効いたわ! ありがとう!」とお礼を言われ、思わずホッと胸をなで下ろしました。Aさんは「ここの薬局の薬はよく効いたので相談するのだけど、ヘルパーの仕事をしていて、手がかぶれるの。以前医者にもらった薬と同じようなのがあるかなあ」と言って、軟こうを見せられました。私はそれと同程度の強さ(5段階中3番目)の軟こうを出して「症状が少しひどいのでアレルギーのお薬も一緒に内服されるとより速く直りますよ」と薦めました。すると「両方ちょうだい!」と言って、すんなり買って行かれました。
 それからです。度々、ここの薬はよく効くと相談に見えるようになりました。私は少し大変なことになったなと思い始めました。この間も、ヘルパー先のBさんに「聞いてきてくれ」と頼まれたのだけれどと言って、次のようなことを聞きに見えられました。血圧が高く気難しいが、頭はしっかりした高齢の方だそうです。車椅子生活をされていて、血圧が高いと頭がボーッとするのは理解できるが、薬を飲んで血圧が下がっているのに、同じようにボーッとする時があるが、どうしてなのかという相談でした。私は、介護支援専門員の実習研修での「お年寄りの血圧はあまり下げ過ぎると脳に血液が行かなくなり頭がボーッとするので、最高血圧は130~150くらいあった方がよい」というドクターの話を思い出し、そのように説明すると納得して帰られました。
 それから1ヶ月ほどして、「今、病院の帰りです」と車椅子に乗ったBさんが、Aさんに連れられて「一度お礼を言いたかった」と店にやって来られました。私は大変うれしく思いました。私にとって、このようなお客様こそ、休みの日に受けた研修が役に立ち、薬剤師として成長させていただけ、勉強の励みになる大切なお客様なのだと痛感しました。
 まだまだ未熟な私ですが、すぐに答えられない質問には後で調べてお答えするなどもして、本を読んだり研修もどんどん受けて健康全般にわたって相談に乗れるよう努めていきたいと思っております。

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