私の感動体験記

第06回 2002年度 受賞作品
最優秀作品
作者名:(氏名割愛)
所属企業:婦人服販売店勤務

記事(紹介文)


 私が販売という職業に携わって、早や6年が経とうとしています。
「人」をお相手する職業なだけに、この6年間の中で数え切れないくらいの出逢いや体験をさせていただきました。その中で、つい半年ほど前の忘れられない出来事を書かせていただきます。
 ある日のこと。赤羽警察からお店に電話がありました。話を聞くと「赤羽駅近くのコンビニエンスストアで万引き犯を捕まえたのですが、その人の持ち物の中にそちらのタグが付いている商品があるので引き取りに来ていただきたい」とのことでした。引き取りに行き、事情を伺うと、精神科に通院されている若い女性とのことでした。
 大変にショックでした。ひとつには、その商品(アクセサリー)がなくなっていたことに気付かなかったこと。もうひとつは、お客様に対し、そういう環境を作ってしまったことです。すぐに店スタッフ全員にそのことを伝え反省いたしました。
 その夜、そのお客様のお母様からお詫びの電話がありました。お詫びとともにその商品を買い取らせて欲しいとおっしゃいました。しかし、私たちの仕事はお客様がお気に召していただいたものをお売りする仕事です。思わずお客様にこう問いかけてしまいました。
 「そのアクセサリーはお気に召して頂けましたか。もしそうでないのであれば、そういう環境をつくってしまった私どもの責任なのですから、どうぞ気になさらないで下さい」。しかもお嬢様の年齢からすると、お母様は私の母と同年代のはずです。そう思うとたまらなくなり、「お母様もご苦労が耐えないでしょうが、どうぞお身体にはくれぐれもお気を付けて」と言わずにはいられませんでした。
 数日後のことです。私がお休みの日に、何とそのお母様とお嬢様がご来店されたのです。担当したスタッフが、私が休みということを伝えると「店長さんにお手紙を書きたいのですが、書く物を貸して頂けますか」とおっしゃり、更にお二人で店内をご覧頂き、セーターを2点お買い上げ下さったのです。
 翌日私が出勤すると「先日は本当にありがとうございました。今日は本当に自分の気に入ったものを探しに来ました。このセーター、とってもかわいいですね。また、来ます」という内容のお手紙が残されていました。びっくりもしましたが、本当に嬉しかったです。こんな事の後で普通ならお店に来づらいはずなのに、しかもお買い物までして下さるなんて…。
 お店が引き起こした事は、本当に申し訳ないのですが、こういう形でもお客様に自分の気持ちが伝わったことを実感いたしました。また、お客様だけでなく、この出来事を強く共感してくれた店スタッフにも感謝します。

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