元気の箱

第06回 2002年度 受賞作品
入賞作品
作者名:(氏名割愛)
所属企業:一般

記事(紹介文)

 
 思いがけない所で思いがけない人に元気をもらうことがある。
 結婚を機に大阪に住み始めて2ヶ月くらい経った頃、初めて住む土地、始めたばかりで慣れない仕事と人間関係、毎日帰りの遅い主人、何でも話すことができる友達もいない、そんな状況に精神的にも肉体的にも相当にまいっていた。
 そんなある日、仕事に疲れきって自宅に戻る途中に、ディスプレイされた洋服がとてもおしゃれな明るい雰囲気のショップが目に入った。考えてみると最近は毎日生活をすることに必死になっていて、おしゃれをすることも忘れていた。気分転換のつもりでそのショップに入ると、「いらっしゃいませ」の声と同時に素敵な笑顔が並び、自然と私の顔も笑顔になった。久々のショッピングにワクワクしながらも、初めて入ったお店に不安を感じていると、女性店員がとびっきりの笑顔で話しかけてきた。洋服を見ながらも彼女の優しい笑顔と柔らかい話し方で、私の不安は徐々に解消されていき、気が付けば、今の自分の悩みなどを話していた。彼女は笑顔で励ましてくれ、私の心も軽くなっていった。私は気持ちを新たにするため、トップス、スカート、くつ、バックと全身を明るい色の新品で揃えた。
 会計の間、商品を持って裏に行った彼女は、両手に大きな荷物を持って戻って来た。その大きな荷物は、私が買った品をひとつずつ箱に入れたもので、きれいに包装をしてリボンまでつけられていた。そして「これは今まで1人でがんばってきた自分へのごほうび、そして、これから元気にがんばる自分へのプレゼントですよ。くじけそうになった時や不安になった時は、この元気の箱をひとつずつ開けて新しい物を身に付け、新たな気持ちでがんばって下さいね」と言って、きれいに包装された元気の箱を渡してくれた。
 早速その日帰ってから元気の箱をひとつ開け、次の日に身に付けて行った。その日から、今までクヨクヨ悩んでいたのが嘘のように、新しい生活を楽しく前向きに過ごすことができるようになった。
 あれから1年近く経ち、元気の箱はもうひとつ開け、あと2つは綺麗な包装のまま残っている。いつか元気の箱は全て開けてしまうかもしれない。だけど私はこの思い出がある限り、いつまでも元気でいられると思う。

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