年度別受賞作品
退職や転居等により氏名公表許諾未確認の方のお名前は割愛させていただきました。
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背の高いお姉さん

第07回 2003年度 受賞作品
優秀賞作品
作者名:(氏名割愛)
所属企業:一般

記事(紹介文)

 
 娘と青森に行った時のこと。周りの地理に詳しくないので、とりあえず駅ビルで買い物をすることにした。娘と私はさっそく、洋服売り場へと向かった。偶然にも私の好きなブランドのお店を見つけて、私はそこでお買い物。娘は、あちこち目移りさせて、いろんなお店をのぞいている。
 一通りお店をチェックした娘が、私のところにやって来た。「このお店、かわいいものが揃ってるんだよ」。私の言葉に、店内をチェックしていた娘は、「ほんとだ」と言って、ひとつの商品の前に釘付けになった。
 娘が見つけたかわいいもの、そのお店の手作りのぬいぐるみだ。大きいサイズと小さいサイズ、2つを見比べて悩む娘。お小遣いには限度がある。大きい方は買えない訳じゃないけど、買うとその後がピンチになるのだ。小さい方は即決で買えるけれど、なにか物足りないのか、娘の気持ちは決まらない。
 私がアドバイスしようとした時、1人の店員さんが娘に近付いた。背の高い女性の店員さんだ。(どうせ、高い方を買わせるんだろう)と、私は思っていた。(それも娘の人生経験になるだろう)と、しばらく様子を見ることにした。
 「それ、かわいいでしょう?」 娘に話しかける店員さん。ちょっとびっくりする娘。娘も私と同じことを考えていたらしい。店員さんは笑顔のままで、「この大きい方はかわいいけれど、少し高いのよね」と言った。私も娘もちょっとびっくり。店員さんは、続けて言う。「この小さい方はね、部屋に飾っておいてもかわいいし、ひもを付けて鞄にぶらさげてもかわいいよ」。その言葉で、娘の迷いはなくなった。「小さい方を下さい」。娘は笑顔で言った。店員さんは、ていねいにぬいぐるみを包んでくれて、会計の後、娘にこっそり耳打ちした。
 「本当は、こっちの小さい方がよく売れてるのよ」。娘も私も、すっかりこの店員さんのファンになった。ビルを出たら、北風が寒かったけれど、私も娘も、心はとっても暖かくなっていた。また来る時も、あの店員さんに会えたらいいな。

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