年度別受賞作品
退職や転居等により氏名公表許諾未確認の方のお名前は割愛させていただきました。
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メガネへのこだわり

第08回 2004年度 受賞作品
入賞作品
作者名:島田乃里子
所属企業:㈱板垣 イオン佐久平店

記事(紹介文)

 
 昨今、メガネは大きな変貌を遂げました。ものを見るためにかけていたメガネが、洋服・靴・バッグのようにファッション化され、おしゃれなメガネをかけて颯爽と歩いている方を、あちらこちらで見受けられるようになりました。
 しかし反面、メガネをかける必要がある方でもかけることがいやだという方がいらっしゃるのも事実です。仕方なしに運転時のみ、近くを見る時だけ、かけたくない、嫌いだ、とはっきりおっしゃる方もいます。レンズも薄くゆがみも少なくなり、フレームは軽く、柔軟でおしゃれに変化している今日でも、そうおっしゃる方がいることは、メガネの販売をしている私にとっては残念でもあります。そのような方に私は「なぜ?」「どこが嫌いなのですか?」と尋ねるようにしています。
 私が入社してから間もない頃、かなり前になりますが、お母さまと小学1年生の男の子が来店されました。「どうしてもメガネがいやだと言って、作ってもかけないんです」と、相談されました。お母さまと話をしていた私は、目線をお子様に合わせ両手を握り、「どうして嫌なの?」「どこが嫌いなの?」と尋ねました。「メガネをかけていると友達がバカにする。カッコ悪い」と小さな声で返事をくれました。このお子様はカッコ悪いからかけるのが嫌なのだとわかり、「だったらカッコ良くて、友達がうらやましいと思うメガネならどう?」とお聞きし、フレームを選び、かけていただきました。
 少し気に入っていただけたのか、笑顔が出たお子様のメガネを作らせていただきました。後日心配もあったのでお尋ねしたところ、珍しいフレームということもあって、クラスの友達から「カッコいい、見せて」と言われて人気者になり、ご本人も喜んで毎日かけて登校しているとのこと。この仕事を続けていこうと私が心に誓ったことは言うまでもなく、その後、「メガネが嫌い」とおっしゃるお客様にカッコいいメガネを作らせていただこう、これが私の一番のこだわりになりました。
 販売業の中で、小さなことも挙げればこだわりはたくさんあります。素敵でおしゃれな若々しいメガネをお作りし、お客様の満足したお顔を拝見する楽しみ。メガネをかけることが嫌でなくなり、好きになり、楽しんでかけている、そんなお客様の変化を見させていただく。毎日この瞬間を迎えることが私の販売へのこだわりであり、今後も続く大きな目標でもあるのです。今日は、どなたに、どのようなメガネを!

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