年度別受賞作品
退職や転居等により氏名公表許諾未確認の方のお名前は割愛させていただきました。
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一期一会

第08回 2004年度 受賞作品
入賞作品
作者名:(氏名割愛)
所属企業:婦人服販売店勤務

記事(紹介文)

 
 それは、私が入社して2ヶ月が過ぎようとしていた頃、親子でご来店されたお客様との素敵な出会いでした。
その頃の私は自分の接客に大変悩んでいました。(これでいいのだろうか。お客様の満足も大切だが、売上げも大事。売上げをあげることのできない私は、本当に販売員としてやっていってもよいのだろうか)と心の中で何度も何度も問いかけていました。
 その日もいつもと同じように入店し、仕事をしていると、私と同じくらいの年齢の娘さんとそのお母様の親子に突然、「これ下さい」と声を掛けられました。娘さんは、手にニットを持っていらっしゃいました。もうお買い上げがお決まりだったにもかかわらず、私は「ご試着なさってみて下さい」とひと言声をお掛けしました。
 するとお二人は顔を見合わせ、娘さんが、「じゃあお願いします」と少し面倒くさそうにおっしゃいました。私は娘さんをご試着室にご案内しましたが、しばらくして娘さんが少し悲しそうなお顔で出ていらっしゃいました。そしてお母様がひと言、「これはサイズが合ってない」。それを聞いて、娘さんはすぐに試着室に戻っていかれました。試着を終えた娘さんが私にひと言、「ありがとうございました」とおっしゃって、ニットとフェイスカバーを手渡して下さいました。
 「あなたのアドバイスがなければ、きっと後悔していました。着てみてよかったです」。
その言葉に続いてお母様が、「試着を薦めれば買うのをやめるかもしれなかったのに、なぜ試着を薦めたの? 言わなければ買ったのに…」とおっしゃったので、「私自身が試着をしないで買って失敗をすることがよくあったので、お客様には後悔していただきたくなかったからです」とお答えすると、それからお二人は笑顔で店内をご覧になり、帰り際に私と目が合うと、ニコッと笑って何度も会釈をして下さいました。
 お礼を言わなければいけないのは私の方でした。なぜなら、私がそれまで悩んでいたことの答えを教えて下さったのはお二人だったからです。お二人の笑顔を見て、これだ! お客様の立場に立って接客をしていけばいいのだ、と気づき、心の中のもやもやがスーッと晴れていくのがわかりました。お帰りになるお客様の後ろ姿に、私は(ありがとうございます)の思いを込めて一礼をしました。
 そのお二人のおかげで、それ以来私は今までの自分の接客スタイルでいいのだと思い、悩まなくなりました。私は幸せな出会いをしたと思います。

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